いろいろやろうと思ってたんだけど、あっという間に休日が終わる・・・
それはさておき、『ナース・スケジューリング』の残りを読んだ。
- 作者:池上 敦子
- 発売日: 2018/03/01
- メディア: 単行本
7章は軽く読み飛ばし、8章は訪問介護スタッフのスケジューリングとか、シフト・スケジューリング、それと時間割作成について。 時間割を作るのってやっぱり難しいんだなぁという感じ。
面白かったのは9章で、最適化問題に落とし込めばとりあえず解は得られるけれど、それが本当に望まれる解になっているのかという問題提起がなされていた。 「顧客が本当に必要だったもの」という笑い話があるけど、やっぱりそこが一番肝心ということ。
ここで、著者が得た事実は「私は問題を、本当には知らなかった」ということだった。 本当に望まれる解というのは、本当は何をしたいのか、何が問題なのかを知らないことには提供できないものなのだ、という、ごく当たり前の結論に行き着いたのである。
(『ナース・スケジューリング』より引用)
そのうえで、「人間の思考に調和する最適化」というのが必要なのではという示唆が面白い。
課題を入力として、本当に欲しい解を出力としたときに、その過程にモデリングや最適解(これが本当に欲しい解とは限らない!)があって、それは入力から出力までの最短経路を求めるというメタな最適化問題になっているのではという考えは、とても面白かった。 今は汎用ソルバーの性能が上がっているので、整数計画問題に落とし込めばとりあえず解が得られることが多いけど、このメタな最適化問題を考えると、問題の構造を理解してそれにあった修正しやすいモデリングを与えることも重要なのではないかと書かれていた。
「おわりに」で引用されている文章も非常に印象深かったので、孫引きしておきたい。
理論があって、しかる後にそれを実際の事がらへあてはめて処理するのが応用である、ということにまちがいはない。 けれども考察の過程の現実は正にそれの逆である。 応用が前で、理論は後から引き出されるのである。
(『労働の科学』「理論と応用」より引用)
現実の問題をモデリングすることがまずあって、いろいろな解法はあとにやってくる。 現実の問題を考えていくことの重要性がよく表れていると思う。
ではまた明日。